【139話】万葉の歌と植物(オオイヌノフグリとヘクソカズラ)

       オオイヌノフグリの花と果実            ヘクソカズラ

 大荒れ冬だったせいか、春の訪れにほっとした安らぎを感じます。道端にコバルトブルーのオオイヌノフグリが星を散りばめたように咲きだすとサンシュユ、コブシ、ユキヤナギといった木々の花々が勢揃いを始めます。

 可憐な花に似つかわずオオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)といったきわどい名前は果実の形から名付けられたもので植物にとって迷惑なことかもしれません。

 同じような運命にある植物にヘクソカズラがあります。これは花の臭いからの命名で、別名サオトメバナと呼ばれ、万葉集にただ一首「皀莢(さいかち)に延(は)ひおほとれるくそかづら絶ゆることなく宮仕へせむ」とクソカズラが詠まれています。クソカズラ(糞蔓)からヘクソカズラへ(屁糞蔓)へと昇格?したのはずっと後の事になります。

 万葉集でヘクソカズラを詠った歌は一首のみ

     菎莢に 延ひおほとれる 屎葛 絶ゆることなく 宮仕へせむ  巻16-3855 高宮王

 しかし、そんな事にはお構いなく、野辺にたくましくき抜いているこれらの花たちは私にとっては一服の清涼剤です。

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