【134話】猫の妙薬/マタタビ(木天寥) 

                  

 

 

 もうかれこれ二十五年も経ったかと思いますが、ある動物用品の社長さんから、猫の「爪研ぎ器」を作るので、「マタタビ」の粉末を世話してほしいと頼まれたことがあります。

 その機器は、細長い箱の中に、斜めに木の板が渡してあって、その上端にマタタビ入りの団子を置いておくだけの簡単なものなのですが、猫がマタタビを取ろうと板を駆け上がる時に、木を引っ掻き、爪を研ぐという代物でした。何とこれを五千台以上売ったというから驚きです。

 「マタタビ」は、六月から七月に径二センチほどの白い花を咲かせるマタタビ科の蔓性の植物です。花をつける蔓の先端部の葉が花どきに白くなり、遠くからでもよく目立ち、送粉昆虫を誘い寄せるサインとなっています。

 マタタビには、ネコ科の動物の大脳と延髄とをマヒさせ、恍惚とさせる中のマタタビラクトンおよび塩基性のアクチニジンという成分が入っています。効果がてきめんなことを表わすのに「猫にまたたび、お女郎に小判」といわれるのは、このことからきています。この効果はネコ科であるライオンやトラにも当然当てはまります。

 マタタビの実に、マタタビノアブラムシが卵を産みつけてできた虫瘤のいびつなものを木天寥(モクテンリョウ)と呼び、不老長寿の妙薬として珍重されてきました。

 木天寥は、体を温め血行を良くし、強心、利尿作用がありますので、冷え症や腰痛、リューマチ、神経痛などに用います。 

  ところで、この「またたび」という変わった名前の由来に は古い言い伝えがあります。

     昔、弘法大師が全国行脚をしておられたとき、道なき道の  険しい山中で難渋し、これ以上歩けなくなって、崩れるようにその場に倒れこんでしまいました。ふと空を見上げますと 、木々に絡みついた蔓に、歪な実がなっているのが眼にとまりました。ひとつをもいで口に運んだところ、見る間に体の中から不思議な力が湧き起こってきて、また旅を続けられたといいます。

  マタタビでもうひとつ不思議な経験があります。マタタビの白くなった葉を採取して、車のトランクに入れて帰り、しばらく、そのままにしていたのですが、二、三日したある日の夕方、車の上に無数のウスバカゲロウが舞っているので驚きました。トランクを開けて、マタタビを取り出しますと、ワーとその葉に群がりました。

  猫に効果があるということでいえば、違った意味で「正露丸」も猫に効果を発揮します。あたりかまわずおしっこをされて、その匂いに辟易されているのであれば、そこに正露丸を数粒撒いておくと猫が近寄りません。正露丸の主成分クレオソートは猫が嫌いな臭いなのでしょう。正露丸を猫の忌避剤として使うのも新しい利用法です。

 かといって、ライオンや虎に襲われた時、「これが目に入らぬか!」と、正露丸を使う気にはなれません。

 

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