【131話】三輪大社/鎮花祭と忍冬酒  

           

 四月十八日、奈良の大神神社とその摂社の狭井神社で鎮花祭があります。千数百年来続いている鎮花祭は古式豊かに執り行われます。

春は花の飛び散る陽気な季節で、人間の気が一番ゆるむ時、それに乗じて精神と肉体に起こる病気の鎮圧を祈願したのが興りです。花粉症に苦しむ人にはありがたい祭式かもしれません。

大神神社の祭神である大物主命は酒の神としても親しまれていますが、一方では日本古代最大の祟り神にほかなりません。崇神天皇は疫病流行が大物主のなせる業と知り、大物主を祭ることで祟りを鎮めたことを記紀が伝えています。


 鎮花祭の供物に、ご神体の三輪山に自する忍冬(スイカズラ)と百合(ササユリの球根)があります。その忍冬を酒につけた忍冬酒が参列者に配られます。スイカズラの葉は冬にも枯れず、寒さにも耐えることから忍冬の名がありますが、初夏になると、はじめ白く、時がたつにつれて黄色くなり、白花黄花が入り乱れて咲くことから金銀花とも呼ばれています。そして、管状になった花を引き抜き、管の細いほうから吸うと、甘い味がするのでスイカズラの名が生まれました。忍冬酒は花と蕾を入れて造られ特有の甘い香りは素晴らしく、更に利尿作用があり、膀胱炎、腎臓病や強壮、強精にも効き目があります。

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