【110話】身近な薬膳(老化の養生薬膳)


 山崎豊子の「華麗なる一族」の舞台にもなった伊勢志摩の「志摩観光ホテル」は今も華麗で落ち着いた当時の趣を残していますが、ロビーに掲げてあるテレビドラマ「華麗なる一族」のポスターの前に立つと、我が身のほうは「加齢なる一族」と化して、少し気落ちがしました。


 加齢といえば、火曜日をカレーの日と定めて、体を温め、体内脂肪を燃焼させ、免疫力を高めてくれる多くの香辛料が使われているカレーを食べることにしています。

 ある日ある時ある場所である人と出会ったとき、私を見てカレーの匂いがすると言われ、その日はカレーを食べてはいないのにと、怪訝に思ったのですが、加齢臭と聞いて愕然としたのです。

 誕日に誰もが一つとる年齢を時間年齢と言いますが、歳とともに落ちてくる運動能力や臓器機能を理学年齢と呼び、その理学的年齢は養によって遅らせることができます。

 老化は歳をとる程、個人差が大きくなります。養の基本は精神的安定と規則正しい活習慣です。過労に注意することと、趣味を持ち地域社会との交流に積極的に参画することも大切です。
 食事に関しては、バランスの良い温かい薄味の食事をすることです。特に体を冷やす石油からつくられる99.99%の塩(塩化ナトリウム)や精製された白砂糖での味付けには注意を要します。野菜や果物も身体を冷やす食材です。
 
 老化に深く関係している臓腑は、腎・脾・肺です。特に腎の働きが重要といわれています。臓器の働きを気と言い、気が弱ることを気虚と呼びます。

 老化の特徴とその症状は次のようなものです。
 (1)腎虚:腰痛や足腰の弱り・生殖機能の衰え・物忘れ・難聴・耳鳴り・白髪・脱毛・むくみなど
 (2)脾胃気虚:疲れ・食欲不振・慢性下痢・内臓下垂・むくみ・黄色ぽい顔など
 (3)肺気虚:咳・ぜんそく・呼吸困難・息切れ・風邪;皮膚の乾燥など
 (4)肝鬱:鬱状態・精神不安・ため息・めまい・不眠・食欲不振など
 (5)心気虚:動悸・発汗・めまい・不眠など

 老化の養によく使われる食材・薬には次のようなものがあります。
 (1)補気:臓腑の働きを強めます。
    はと麦・長芋・じゃが芋・南瓜・キャベツ等の食材と朝鮮人参・黄耆・茯苓・山薬・大棗などの生薬です。
 (2)理気解鬱:気の巡りが停滞しているのを改善する。
    そば・にら・大根・オレンジ・蜜柑などの食材と陳皮・枳殻・木香・仏手柑・柿蔕等の薬です。
 (3)養血:新しいき生きした血を補充する。
    ほうれん草・豚鶏のレバー・牛肉・烏骨鶏・黒ゴマ・ライチ・落花生などの食材と熟地黄・何首烏・竜眼肉・阿膠などの薬です。
 (4)滋陰:津液・血・精の不足を補う。
    胡桃・黒ゴマ・銀耳(キクラゲ)・豆腐・牛乳・豆乳・すっぽんなどの食材と枸杞子・黄精・女貞子などの薬です。
 (5)助陽:気は陰陽学では陽に属し、気の不足が悪化し現れる痛みや冷えを治します。
    胡桃・羊肉・海老・ナマコなどの食材や冬虫夏草・杜仲・鹿茸・肉蓰蓉などの生薬を使います。
 (6)活血化瘀:理の流れが滞ることを瘀血(オケツ)といい、この血の滞りを改善します。
    にら・らっきょう・青梗菜(チンゲンサイ)・慈姑・酢などの食材と川芎・ウコン・紅花・桃仁・山楂子などが用いられます。

 川柳ではありませんが、「顎で追う蝿は六味へたかる也」のような身にはなりたくありません。なお、六味とは漢方薬の六味丸(地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮)のことで、江戸時代に腎虚の薬としてよく使われました。


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