【108話】身近な薬膳(気血水)

           

 漢方医学において、心身の活動は「気・血(けつ)・水(すい)」の3つの要素によって営まれると考えます。

 中国の金元時代に「気血論」が体系化され、それが、江戸時代の名医、吉益南涯によって「気血水論」に発展してゆきました。
 陰陽から見ますと、気が陽で、血が陰に当たります。この血をさらに狭義の血(血液)と水(血液以外の体液:津液)に分けたのが気血水の考え方です。
 そして、この気・血・水が滞りなく循環していれば健康で、滞ったり、不足したすると病気になります。

 「気は」は元気、精気、気力などの「気」で目で見ることが出来ない活力(エネルギー)です。言い換えますと、体内における精神的・機能的な活動を「気」と呼んでいるわけです。
 「気」は私たちがこの世にを受けた時に、両親から与えられた「先天の気」と、飲食物を摂ることで得られる「水穀の気」と、空気を吸うことでいられる「宗気」からなっています。先天の気は、成長、発育、殖をコントロールする重要な要素で、現代科学的にいえば、遺伝子(DNA)ということになります。

 人間は60兆個の細胞からなっていますが、その一つ一つの細胞内の核に遺伝子が組み込まれています。遺伝子には30億個の情報が詰め込まれています。普段はその数%が使われているにすぎません。遺伝子情報が活動するためには、そのチャンネルを開かなくてはなりません。このチャンネルをオープンするのが「気」ということになります。遺伝子には働かなくてもよいものもあります。ガン細胞を増殖させる遺伝子もあれば、殺す遺伝子もあります。しかし、相対的には、遺伝子の活動を活発化させるほうが、心身共に良いとされています。

 そのための方法は、一にも二にも、プラス思考でいることです。そうすることで、今まで働かなかった遺伝子が活動を始めます。ガンには負けないと気力を尽くした人が、いつの間にか体の中からガンが消えたとの報告や、火事場の馬鹿力で普段は持ち上がらない100キロ以上のタンスを運び出した話など、枚挙に遑(イトマ)がありません。
 その人のもっている能力は遺伝子に組み込まれた以外のものはありません。膨大な遺伝子情報を、いかに眠りから覚まさすかが重要で、それには前向きな思考を持つことです。万次物事がうまくいっている場合は、自然とプラス思考で行動しています。いやなことや、つらいことなど、何をしてもうまくいかない時にこそプラス思考ができるかどうかが問われます。

 話が少し横道にそれました。
  「血」と「水」はともに、体を潤し、栄養を与えるため、体内を巡っています。「血」と「水」は水穀の気や宗気が変化したものと考えています。「血」は命活動を活性化させ、「水」は、体の防衛機能に関与しています。
 
 気の異常はストレスなどによって起こります。気が減少すると、消化能力が低下し、栄養素が体の隅々まで行き渡らなくなり、疲れやすい、食欲がない、風邪を引きやすい、といった症状が現れます。
 血が停滞すると、頭痛、肩こり、冷えのぼせなどの症状を引き起こします。
 水が滞ると、むくみ、息切れ、咳、手足の冷えやしびれなどの症状が現れます。

 これらの症状が出ないように、また改善するように、それに合った食材を選びます。気を改善する食材(理気材)、水を改善する食材(駆水材)、血を改善する食材(駆瘀血材)を単独で食するか、または組み合わせて食します。

 「熱温平涼寒」の性情と共に「気血水」に働く効能(食効)をみて、食材を食卓にのせることことが薬膳として重要な考え方なのです。

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