【107話】身近な薬膳(寒熱と長寿)
「100歳以上が9万5千人を突破」とのことです。都道府県別にみますと、人口の多い東京、大阪、神奈川、北海道、福岡に多いのは納得できますが、人口10万人あたりの人数でみますと、沖縄、島根、高知、熊本、鹿児島、山口と総じて温かい県に多く、青森、栃木、茨城、宮城、秋田の寒い地域に少ないことで、気候が寿命にきわめて関係深い因子であることが分ります。
医学大事典に「日本人の平均体温は36.8±0.34℃」と記載があります。しかし、今の日本人に36.8℃の体温を持つ人は極めて少なく、高くても36.2~3℃で、35℃台の人が多くなっています。
体温の変化は私たちの体にとって大きな影響を与えます。新型インフルエンザに罹って高熱が出ますと、全身がだるく節々が痛み、その処置に右往左往しますが、一方、平熱が下がることにはほとんど気にかけていません。
1℃体温が下がりますと、免疫力は30%下がり、基礎代謝が十数%下がるといわれています。1日で気温が一番低くなる午前3時から5時は、死亡の多い時間帯であり、不眠症の人が目覚める時間帯でもあります。
なぜ日本人の体温が下がって来たのかには多くの原因があります。ひとつは車社会で歩かなくなったこと、家電製品の普及で筋肉労働をしなくなったことがあげられます。体温をあげるためには筋肉を動かさなくてはなりません。寒気がして震えるのは、筋肉をふるわせて体温を上げようとしているからです。その筋肉の衰えてきたことが原因の一つです。
さらに、夏の環境です。夏は大いに汗をかき、体内にたまっている老廃物や冷えの原因である余分な水分を外に出す季節なのですが、クーラで冷やし、ゆっくりと湯船に浸かって温まり疲れをとることをせず、シャワーで済ますことが多くなったことも問題です。
しかし、体を冷やす最も大きな要因は、戦後からの、特にここ20年ほど前からの飲食物の摂り方にあると思われます。
東洋医学における薬膳では、食材を栄養やカロリーよりも、体を冷す食材か温める食材かを重要視します。
暑い夏にはついつい多くの冷やす食べ物や大量の飲料水を摂りがちですが、夏の暑さが終わり秋の涼しさを感じ始めると、冷たさに痛めつけられた体に大きな負担がかかってきます。
この季節からは、特に体を温める食材を摂らなくてはなりません。一般に温める食材は、北方産のりんご、ぶどう、そば、プルーンや黒い色の黒ビール、黒砂糖や赤い色の赤ワイン、硬い食材の玄米、小豆、水分の少ない飲物(日本酒、紹興酒)等があります。従いまして、体を冷やす食材は、色の白い、南方産の、柔らかい、水分の多い飲物ということになります。
健康で長寿な生活を願うのであれば、筋力を鍛え、温かい環境のもと、体を温める飲食物を摂取することに努めることが肝要ですが、無理な運動やおいしくない食事でストレスがかかれば元も子もありません。気をうまく巡らせるためには、あまり厳しいノルマをかけず、少しファージーに楽しく実践する方が効果が大きいと思います。
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