【019話】インフルエンザと麻黄湯
インフルエンザの季節がやってきました。この季節になると、中学校・高等学校が休校になったり、通勤電車では、大半の人がマスクをかけて、特にほとんどの女性の顔が見えない状態になります。無防備でいますと、まわりを囲んでいる白いマスクの軍団に怖さを感じることにもなります。
イギリスに住む身内からの電話で、こんな話を聞きました。
ロンドンのヒースロー空港からマンチェスターまでリムジンをチャーターした二人の日本人がいて、二人とも大きな白いマスクで顔を覆い、行き先を告げただけで、あとは一言も発しなかったそうです。その道中、運転手は生きた心地がしなかったということです。コロナ禍後は様相が変わってきましたが、ヨーロッパでは一般にマスクをする人は罹患者で、他人にうつさないためにマスクをするので、マスクをしなければならない人は外出しないというのが常識のようです。
例年流行する一般的なインフルエンザは、タミフルが効を奏します。また、漢方薬の「麻黄湯」も有効と報道されています。
インフルエンザや風邪の引き始めに服用する漢方薬のファーストチョイスは、よく知られた「葛根湯」ですが、少し症状が重くなってくると「麻黄湯」に変方します。
麻黄湯は、麻黄、杏仁、桂皮、甘草の四つの生薬からなっています。
麻黄はゴビ砂漠のような乾燥地に野生するマオウ科マオウ属マオウの地上茎です。主成分エフェドリンを含み、このエフェドリンは咳止め薬として多くのかぜ薬に配合さまれますが、交感神経を興奮させる作用があることから、スポーツ競技のドーピング検査で禁止薬に指定されています。葛根湯にも麻黄が含まれていることで、風邪気味の競技者が葛根湯を飲みドーピングに引っかかったとの話がよくあります。
杏仁はバラ科サクラ属アンズの種子です。主成分の青酸配糖体アミグダリンが鎮咳作用を有しています。
桂皮は中国南部やベトナムで栽培・野生するクスノキ科クスノキ属シナモンの樹皮です。主成分ケイヒアルデヒドに発汗、解熱、鎮痛作用があります。
甘草はマメ科カンゾウ属カンゾウの根及びストロンです。主成分グリチルリチンを含み、去痰、鎮咳に使用します。
これら各生薬の薬効から見て分かりますように、麻黄湯は「平素丈夫で頑健な体質で体力が充実したもの」に用います。症状としては実証ですから、発熱、悪寒がきつく、頭痛、咳、身体疼痛の激しいものです。ここでの重要な注意は、無汗であることです。従って、汗が自然に出る状態では使ってはいけないということになります。
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