【092話】パブロフの犬  

   

「条件反射」と聞けば直ぐにパブロフの犬を思い浮かべるほどに、私たちの体の中に条件反射ができています。

 肉を与えて唾液が出るのはまれつきの反射である無条件反射、ベルの音を聞いて唾液が出るのは生まれてから獲得した反射、すなわち条件反射です。そして、私たちは行動の多くがこの条件反射にいかに深く係わっているかに驚かされます。

 ただ、この条件反射には二通りあって、パブロフの古典的条件づけとは別に、オペラント条件づけ(道具的条件づけ)といわれるものがあります。このオペラント条件付けは、試行錯誤の行動の繰り返し得られる条件づけで、学習とも言われています。

 信号の赤を見ればストップする。電話のベルが鳴れば受話器をとる。これらの行動は、古典的条件付けでもありますが、オペラント条件付けとしての存在が大きいのです。

 信号が赤であればそこにとどまるという古典的条件付けと同時に、赤であることを知らずに渡って車にぶつかった経験があって、赤信号では渡らなくなったというオペラント的な理由もあります。また、ベルが鳴ると受話器を外すという行動が条件づけられている場合もありますが、音がうるさいから受話器を外すという”うるさい”といったマイナス因子を取り除くエスペラント的な理由もあります。

 ニューヨークのある銀行に強盗が押し入り、もたもたしているうちに警官隊に包囲されて撃ち合いになりました。その時、強盗のそばにあった電話が突然けたたましく鳴りました。あわてて受話器をとって、彼は言いました。「うるさい、今、忙しいんだ」 本当にあったお話です。

 日常の行動や思考の多くは条件反射に支配されています。テレビで日に何度となく繰り返されるコマーシャルは条件反射を逆手にとった戦略です。

日常の行動や思考が多くの条件反射に支配されていることに気づかないと、自分自身を見失うかもしれません。


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