【094話】牛(ウシ)の名の付く植物
新年にやってくる数百人の訪問者は、その訪問の仕方に個性があって、それぞれの人生が垣間見れて楽しいものです。
毎年、子供の写真を載せているものには、他人の子供ながら、その成長に目を細めます。家族の写真は一家の幸せがこちらにも伝わってくるようで、心が和みます。定番の印刷にひと筆添えた言葉は心の温かさを感じます。
近況を伝えるもの、こちらの安否を問うもの。何十年も年一度のお付き合いを続けていますと、短い一言に大きな意味が含まれていて、あれこれ考えを巡らすのも楽しいことです。
その中で、干支の名のついた植物を送られる方が数人おられます。十年前は私もその内の一人だったのですが、ふたまわりした段階で止めてしまいました。
今年の丑年には、「ウシハコベ」「牛蒡」「うしかば」の植物がお目見えです。
ウシハコベは、ハコベの外来種で、在来の日本のハコベよりも一回り大きく、都会の近辺はウシハコベが勢力を延ばしています。春の七草はセリ、ナズナ、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベラ(ハコベ)、ホトケノザ(タビラコ)、スズナ(大根)、スズシロ(蕪)を指しますが、旧暦ではいざ知らず、現在の一月七日の七草粥に入れるのにはハコベは時期早々の感があります。ハコベは生薬名を繁縷(ハンロウ)と云って、利尿作用、浄血作用があるとされ、民間薬として用いられています。
牛蒡はキク科ゴボウ属ゴボウです。牛蒡の蒡は「丸い葉が両側に広がる葉」のこととされていますが、牛にはいくつかの説があって、一説には形が牛の尾に似ているため、また他説には単に大きい、の意とあります。
牛蒡の種子は牛蒡子といって、漢方では発汗、利尿薬として用いられています。
牛蒡は日本以外では食材にすることはなく、中国では薬材として、ヨーロッパでは若葉をサラダにします。
最近、オリゴ糖がふんだんに含まれているアンデスの根菜「ヤーコン」が話題になっていますが、ヤーコンが知られるまでは牛蒡がオリゴ糖の含有では一番の食材でした。
「うしかば」は別名クロソヨゴと呼ばれるモチノキ科の常緑低木で高さ五メートルに達します。
今までこの植物を知らなかったのですが、山口県カテゴリーの絶滅危惧Ⅱ類の植物だそうで、日本の固有種が消えてゆくのは是が非でも守らなくてはなりません。
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