【090-9/9話】甘草の故郷を訪ねて/兵馬俑
腊葉(サクヨウ)
Oさんの事務所は長安中路に面したビルの三階にありました。同じビルに税務署があったりして、官民の入った雑居ビルは日本ではあまり聞かないので驚きました。
今回採取の甘草の「腊葉」を作るために、旅の途中でも何度も挟んだ新聞紙を取り換えてきましたが、ここで、最後の作業を行いました。水分を取らないと生渇きだと黴がきます。結構手間のかかる仕事です。
兵馬俑
午後から少し時間ができたので、秦の始皇帝の陪葬物で有名な兵馬俑の見学に出かけました。私にとっては三回目の訪問ですが、いつ来てもそのスケールの大きさに圧倒されます。兵馬俑の発掘と修理にはまだまだ長い年月がかかるといわれていますが、その発掘修理の現場も見学の中で見ることができます。不死の薬を求めて、始皇帝が蓬莱に遣わした徐福が、徐福村の発見で、伝説の人物でなく史実として歴史の中に登場してきました。
西安一のスーパーマーケットに出かけました。陝西省特産の、山査子、大棗、枸杞子などの薬膳食材と乾燥した梅干しに地元の人に人気のインスタントラーメンを買いこんで日本への土産としました。最後の晩餐は、旅の成果への満足感と強行軍の疲れで重ねた白酒はよくまわりました。
ホテルの自室に戻ったのは午前様で、このことが翌朝の失態に続くとは思ってもみませんでした。
ドアを叩かれて
激しいドアのノックで飛び起きました。まだボーとしている脳のエンジンを全開にします。慌てて時計をみますと、午前5時。空港への出発時間が過ぎています。
ドアを開けると、Oさんが「早く!早く!」と叫んでいます。急いで、服を着かえ、荷物をトランクに無理やり押し込んでフロントへと走りました。まだ、暗いフロントには誰もいません。Oさんが追っ付けやってきて、「KさんとOさんが起きてこない。」と言います。西安発7時のフライトに間に合わなければ、一日遅れになります。もう一度とOさんが駆け出して行きました。
しばらくして、開けきらない目をしょぼつかせてご両人が現れました。チェックアウトを済ませた車に飛び乗ります。
赤信号を無視して(西安の早朝、人通りの少ない時は信号無視は当たり前とのこと)、市街を通過、高速道路を超スピードで走りすぎます。おかげで何とか間に合ったのですが、Oさんたちへのお礼の言葉もそこそこに、何とお粗末な出立だったのでしょうか。
上海空港で昼食をとりました。一杯800円の味ではなかったのですが、久しぶりに日本のうどんに舌鼓を打ったのでした。
関空の連絡橋が目に飛び込んできて、日本への無事ご帰還となった次第です。(了)
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