【080話】彦根城とひこにゃん
小春日和の一日でした。琵琶湖湖畔のホテルで会議があり、そのホテルで一泊した翌日が土曜日だったこともあり、久しぶりに近くの彦根城を訪れました。
駐車場に車を停めて歩き始めたとき、小枝に数片の花をつけた桜が目に留りました。その日のポカポカ陽気に狂い咲きをしたのかと思っていると、その横の立て看板に「二季咲桜」、冬(11月~1月)と春(4月~5月)の年二回花を咲かせるとあります。
その一片をカメラに収めて行こうとして、何か気にかかることがありました。も一度看板を見て納得しました。「水戸市(友好都市)」の一文です。
尊攘派の「水戸藩士」による桜田門外での井伊直弼の暗殺依頼、犬猿のあいだ柄だったと記憶していたので、長年の怨念を越えて友好都市としての宣言はほっとした気分になったのです。
同じようなことが身近にもあります。もうかれこれ30年以上にもなりますが、鹿児島に漢方の講師に呼ばれて行くことになりました。このことを、当時90歳になっていた祖母に話すと、顔色を変えて、「そんな敵地に行くものではありません」とたしなめられたのです。
その言葉に怪訝な顔をしていると、祖父の兄が西南の役で、加賀藩官軍副大将として鹿児島の地で西郷と戦い戦死したのだという。それ以来、鹿児島は当家にはにっくき敵地となっていたようです。
何段もの石段を上り、天守閣の建つ広場に出ました。眼下に琵琶湖が広がり、遠く比良の山系が望まれます。数年前に築城400年を迎え、お色直しされた城は琵琶湖に浮かんでいるようでもありました。
しばらく佇んでいると、大勢の人たちが次々と登城してきた。これから「ひこにゃんショー」が始まるという。ひこにゃんが登場して、あちこちから、「ひこにゃーん」と生き生きとした可愛い子どもの声がかかります。のどかなショーを楽しんで、そのあと、玄宮園の庭園を散策し家路につきました。
120年の時空に思いをはせたひと時でした。
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