【058話】出雲大社と神道の作法(参拝)

 

出雲大社

 今年に入って、二度、出雲大社を訪れる機会がありました。
 この神社の参拝の仕方は、二礼二拍一礼ではなく、二礼四拍一礼と四回拍手を打つことが、他の神社とは違っています。
 もともと、参拝の仕方は神社によってマチマチだったようで、今でも、伊勢神宮では八礼八拍と多いところもありますが、大方の神社では二礼二拍一礼をとっています。
 普段、神主の神前での作法を見てますと、礼は腰を直角にまで折り、手を合わせ拍手を打つまでに少し動きがあって、我々の所作と少し趣きを異にしているように見えます。
 神社関連の書を紐解いてみると、納得のいく説明にであったので、以下、引用してみます。

 〇先ず、直立の姿勢から背を地面と水平になるまで深々と90度に腰を祈り、頭を下げる。これを2回行う。  これが二礼だ。
 〇次に、両手を胸の高さできちんと合わせ、右手を指の一節分ほど引きずらして2度手を打ち、再びきちんと両手を合わせて祈念を込めてから、手を下す。これが二拍手である。
 〇次に、再び深々と最初と同じように拝を1回行う。これが一礼である。

 この神道の作法というのは、実は神意や宇宙の実相を示しています。
 たとえば、「かがむ」動作は「神(かみ)」であり、すなわち神産霊神(かみむすびのかみ)の働きです。   「立つ」動作は「健(たけ)」「高(たか)」であり、高御産霊神(たかむすびのかみ)の働きです。
 神前に立って拍手を打つ時に、両手を合わせ、右手を少し手前に引きますが、これは、左手は「火足り(ひたり)」であり、陽(ひ)であり、霊(ひ)です。右は「水極(みぎ)」であり、陰(つき)であり、身(み)です。両手を合わせるのは陰陽の結合、調和であり、右手を少し引くのは、陰が一歩下がる、つまり霊主体従を意味するものです。
 手を打ち鳴らすのは天地開闢の音霊(おとだま)であり、天の磐戸開きです。祈るとき、そこに天地が開け、磐戸が開き、光明があふれでることを意味するのです。
 拝をするのは身をかがめ畏まることで、至上のものに対する畏敬の念の表現でもありますが、同時に、地に垂直に立つ足と地に平行に屈した上半身は、それぞれ縦に伸びている火の気であり.横に流動する水の気です。火と水の交合した姿、即ち「火水(かみ)」となって、大宇宙的存在たる親神にまみえるわけです。
 少し長い引用となりましたが、このことを意識して、参拝を行うと、以前よりも神域に近づいたように思えて、すがすがしい気分になれました。

 出雲大社の四拍手は、四回手を合わせるので「しあわせ」となり、手の節を合わせると「ふしあわせに」になるので、合わせた手は、すぐに右手を引くのが良いということになります。
 出雲大社は「大社(おおやしろ)」と言われるように、当初は32丈(96メートル)あったといわれ、よく崩壊したようです。平安時代には16丈(48メートル)、江戸時代には8丈(24メートル)となり、現在の大社になっていますが、それでも、他を圧倒する迫力があります。
 60年に一度の遷宮が昨年(2013年)あり、ご本殿の新しい檜皮葺きの大屋根が目に鮮やかです。

 今から50年以上も前に、92歳で亡くなった明治まれの祖母が、おじゃみをしながら歌っていた数え歌に出雲大社が出てきます。

  一番初めは一の宮
  二は日光東照宮
  三は佐倉の惣五郎 (三は讃岐の金毘羅さん)
  四はまた信濃の善光寺
  五つつ出雲の大社(おおやしろ)
  六つ村々鎮守様
  七つ成田の不動様
  八つ八幡の八幡宮
  九つ高野の弘法様
  十は所の氏神さん

 数え歌に出てくる寺社の大方のところは参拝が終わっていますが、機会があれば新たな気持ちで再訪したいとも思っています。

 出雲大社で大きなものと言えば、注連縄が有名です。神楽殿の注連縄は、長さ13.5メートル、太さは最大8メートル、重さ4.4トンと大きさでは日本一を誇ります。しかし、この注連縄は右から左に太くなるように張ってあります。
 一般に、注連縄は外から悪い怨霊が入らぬように、左から右に太くなるように張るのですが、ここでは反対です。ここの祭神/大国主命は天照大神に国譲りといっても、無念の敗北と死が待っていたのですから、その怨霊を封じ込めるための注連縄なのです。そのために注連縄を内側に向けて逆向きに張ってあるのです。

 出雲王国からの長い歴史を感ぜずにはおれませんが、大国主命は少彦名命と共に、人々の病気を治すために全国を巡った神でもあります。怨霊として閉じ込めるのは、その時代の主権者の一存ですから、そろそろ注連縄の向きを替えてもよいと思うのですが。
 その注連縄を見下ろすように、これまた日本一の75畳の大きな日の丸が6月の風に靡いていました

 



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