【026話】古本の遍歴

                            


 帰宅の折、乗り合わせるバスの時刻にはまだ間がある時、バス停前にある古本屋で獲物を物色するのが楽しみの一つになっています。
 今回、たまたま手に取った本は「ミステリー・ギャラリー西洋名画の謎」(井出洋一郎著)で、推理物が好きな私には、題名だけでの衝動買いでした。

 海外に出かけたときは、大抵、美術館を見て回ります。この本に取り上げられている「モネの「睡蓮」、ゴッホの「ひまわり」「耳を切った自画像」、ミケランジェロの「システィナ礼拝堂天井画」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」、「ミロのヴィーナス」、ゴヤの「裸のマハ」「着衣のマハ」、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」も、それぞれの美術館で本物と対面しています。この著に書かれている謎を知っていれば、もう少し鑑賞の仕方が変わっていたかもしれません。

 それはさておき、この本には二枚のレシートが挟まれていました。 一枚は、1992年3月9日に東京八重洲のブックセンターの2200円のレシートです。本の発行が1991年10日で、定価2200円ですから、価格通り新本の購入です。

 今から32年前と言えば、アルバムを紐解きますと、イギリスとオランダへ行った年に当たります。アムステルダムのゴッホ美術館に立ち寄っています。

 さて、もう一枚のレシートです。2010年12月29日、BOOKOFF新百合丘オーパ店とあり、105円の古本を55円で購入しています。

 2200円の本が105円ということは、最初に買った方が、18年ほどして古本屋に売ったに違いありません。一般に新本に近い古本は半値か三分の一程度の価格がついています。私も読み切りの古本は、古本屋に売ることがありますが、古本屋さんは、ざーっとみて、あとは目方で価格を決めることもあって、驚くような安さです。この購入者は本好きな方のようで、読み終えた本は売って、新たに古本を買われているようで、50円をサービス券で支払われていることから推察できます。

 それから5年後、天牛堺書店でこの本を400円で購入しました。得をしたのか損をしたのかわかりませんが、400円以上の内容があったと思いますので、よかったと納得しています。

 なお、この本を売るときには今回のレシートを挟んでおくことを考えています。次はどこのどなたがいくらでお買いになるのか楽しみですし、本も遍歴しながら、き続けることのほうが、本棚の隅でほこりにまみれているより幸せに違いありません。

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