【082話】羊羹と羊あれこれ

            
 ふと、ラジオのスイッチを入れると、羊羹がブームなるような話をしています。「羊羹のブルース」が流行っているらしい。

 以前、「およげたいやきくん」や「だんご3兄弟」の歌がきっかけで、たい焼きや団子が飛ぶように売れたことで、今年の暮れからは、羊羹が飛ぶように売れるではないかとの話です。 

 番組での少し触れていたのですが、何故「ようかん」を「羊羹」(羊の羹)と書くのでしょう。 

 羊羹とは、中国では本来「羊の羹 (あつもの)」、つまり羊肉入りのとろみのあるスープでした。鎌倉~室町時代、禅僧が点心 (食間に食べる小食) の一つとして中国から日本に伝えました。しかし、禅僧は肉食を禁じられていたため、日本では小豆や葛、小麦粉を用いた見立て料理に変化し、そのうち現在でいう蒸羊羹に近いものになっていったと考えられています。江戸時代になって寒天が発見されてから、現在一般的な煉羊羹が登場し、今に至っています。

話のついでなので、羊にまつわる話をあれこれと申し上げます。
 先ずは「羊」の漢字。甲骨文字を見ると、角をもった頭部だけの象形文字です。
 羊を使った漢字はたくさんあります。羊が偏や旁に使われているときは、羊や食品に関する意味を持ち、良い価値観を示すものが多いようです。また、音符のヨウとして用いられています。
 羊が使われている字を調べた人がいて、下記のような報告をしているので紹介します。

 儀犠義蟻議業群嵯差瑳祥詳羨鮮善繕膳叢達遅着美洋窯羊養佯嗟姜嵳嶬庠恙搓撻曦樣漾瀁燵犧痒癢癬盖磋礒縒羌羔羞羝羚羣羯羲羹羮羶羸譱

翔艤蘚觧蹉躾闥韃鱶咩渼羡傞僐劷噠垟墡嶫徉懩攁暛檥欉氧溠烊牂瘥糕羍羏羑羖羗羜羢羦羪羭羴羼艖菐薘蜣褨躂鄯鄴鎂鎈鐽餻饈饍鯗鱃鱔鹺


 ヒツジは古くから飼育されている家畜の一つで、毛は織物、肉は食用、乳は飲物として、また加工され食用にされています。イスラム教徒(回族)は豚肉を食べないので羊肉が主菜として食されています。

以前、中国の北西部を甘草調査に廻った際、地域のほとんどが回族だったこともあり、十日ばかり羊肉だけで過ごしたことがありました。羊肉は、肉類の中でも体を温める働きが強く、ジンギスカン鍋をはじめとした羊肉料理は北の寒冷地には欠かせない食材の一つでもありますが、さすがに最後は参った感があり、久しぶりに潮州料理(海鮮料理)を口にしたときのホット感は今でも覚えています。

ギシギシ

 羊(ひつじ)のついた植物は探してみると、先ずは羊蹄。タデ科の植物ギシギシの漢名です。便秘薬の大黄も同じ仲間で、一時、大黄が入手不足だった時代に、和大黄としてこのギシギシが局方に「和大黄」として収載されていました。ついでに北海道の蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山は、ギシギシが多く生えていた山からの命名だと思っています。

ヒツジグサ

ヒツジグサはスイレン科スイレン属の水生植物で、日本で古来より育しているのは、世界に何十種類もあるスイレンの中でこの一種だけ。耐寒性で白い可憐な花を咲かせる世界最小のスイレンです。未(ひつじ)の刻(午後二時ごろ)に花を開くと考えられていたので、ヒツジグサの名がありますが、実際には午前中から夕方まで咲いています。

羊の入った漢字から見ると、「姜」は姜(しょうが)・乾姜の姜で、禍を防御する意味があります。体を温め免疫力を高めることからの命名だとするのがよいのかもしれません。

イカリソウ

 淫羊藿はメギ科イカリソウ属イカリソウの漢名です。全草を乾燥し、強壮、強精、神経衰弱、健忘症に用います。淫羊藿の名前の由来は、「四川省に淫した羊あり。この藿(豆の葉)を食べたため、一日百遍合す」からきています。また、イカリソウは花の形が、船の錨に似ていることからの命名です。

虞美人草ヒナゲシ

 「美」の字は羊が大きいと表します。そこで、虞美人草です。虞美人草はケシ科のヒナゲシ(雛罌粟)で、夏目漱石の小説「虞美人草」でもお馴染みです。
 虞美人草の名の由来です。項羽には虞と言う愛人がいました。項羽が劉備に敗れ、死を覚悟したとき、項羽が詠った垓下の歌に合わせて舞を舞ったあと自害しました。そして、その後に咲いた赤い花がこのヒナゲシだったことに由来します。
 なお、同属のケシは、麻薬原料ですが、ヒナゲシにはその作用はありません。

サイガカモシカ

 「羚」は羚羊の羚です。羚羊はウシ科のサイガカモシカで、その角を羚羊角といい、鎮静、解熱、 抗炎症薬として用い、高熱による頭痛、うわごと、痙攣に用い、早期白髪, 腰や膝がだるく無力、腰痛、頭のふらつき、めまい, 視力減退, 目がかすむ, 動悸, 不眠に効果があります。

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